いい人財が集まる会社の採用の思考法[書評]
おすすめしたい人:
- 採用の重要性について知るという根本的な所から学びたい方
- 自社の採用基準設定に悩んでいる方
- パイプラインという営業・マーケティングの概念をまだ採用に取り入れてない方
本書は以上のような方々におすすめな、主に新卒採用を想定して書かれた一冊です。本の紙質や、サイズに対しての文章量、程よい行間の余白などとても読みやすい一冊になっています。
ピックアップ:
本書の中から私がおすすめしたい箇所を1つ紹介します。
本書には採用活動のプロセスを分解しフェーズごとに人数を数値化することで、全体を俯瞰して管理することができる方法が載っています。著者はこの方法を「採用パイプライン」と名付けています。これについて著者の説明を引用します。
「パイプライン管理」とは、そのプロセスをパイプライン(管路)にたとえ、入り口から出口までを見える化し、分析する管理手法です。営業活動であれば、「初回訪問」から「受注」までの流れを管理するのが一般的です。採用活動であれば「初回接点」から「内定承諾」までの流れを管理していきます。
と著者は述べています。
このように管理することで、
- 目標とする内定承諾数から初回接点数を逆算できる
- データとして蓄積することで改善すべきフェーズが見えてくる
などのメリットを得ることができます。
同じようなフレームワークで、マーケティングの分野で主に使われているマーケティングファネルというフレームワークがあります。実際に自社に取り入れる場合は、本書の採用パイプラインだけでなくマーケティングファネルにも目を通しておくことをおすすめします。
以上私のおすすめ箇所でした。
概要:
本書は4章に分かれます。
1章:採用の重要性についての説明
2章:いい採用ができていない会社の共通点
3章:採用基準の考え方
4章:良い採用を行うための具体的な方法
著者:
著者は酒井利昌氏。株式会社アタックス・セールス・アソシエイツの採用コンサルタント。前職では9年間で1000社の採用支援、学生3000人の就職支援に携わり、現職では年間150回以上の研修、セミナー、コンサルティング支援に従事。
監修者は坂本光司氏。経営学者・元法政大学大学院教授・人を大切にする経営学会会長。
感想:
本書では営業活動で使われているパイプライン手法を採用活動に応用する方法が説明されていました。以前紹介した「小さな会社・採用のルール」でも経営戦略を採用戦略に応用されてましたね。
採用とは「”企業が顧客に物を売る”ことから、”企業が求職者に自社を売る”のに置き換えているに過ぎない」というのが採用の専門家の見解なのかもしれません。ということは、経営戦略やマーケティングが上手い企業は、採用本の中に書いてあるような「採用が上手くいくコツ」などの事前知識を持たずとも採用活動が上手く言っている可能性がありそうです。大方の採用本を読み次第このあたりを調査したいと思います。
以上、いい人財が集まる会社の採用の思考法の書評でした。
米田