「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング[書評]
おすすめしたい人:
- 母集団の質を上げたい方
- 内定辞退率を下げたい方
- 入社後パフォーマンスが高い人を採用したい人
以上2点を求めている方に最適な本です。これらの方法を知りたい場合、まずこの本を読むべきです。
ピックアップ:
本書の中から私がおすすめしたい箇所を1つ紹介します。
多くの企業は応募者の母集団形成の際に、”質”より”量”に意識が行きがちです。
*母集団形成:自社の求人に興味や関心を持っている学生を集めること
「母集団さえ作れれば採用はなんとかなる」
「とにかく応募者を沢山集めよう」
そう考えてしまいます。
ですが著者はそうではなく、「”量”より”質”を意識するべきだ」と主張しているのです。この主張とその根拠こそ私が本書でおすすめしたい箇所となっています。
量・質をそれぞれ上げる増やす際のメリットとデメリットを整理します。
量を増やす:
メリット:
母集団の量を増やすほど求める人材に出会える確率は高まる
デメリット:
人材ニーズが年々高まっているため、母集団を増やそうとするほどお金がかかり、さらに母集団が増えるほど選考にもお金と時間がかかる
質を上げる:
メリット:
母集団の質が高いため、内定承諾率や入社後のアンマッチの可能性を下げ、さらに入社後の高パファーマンスも期待できるようになる
デメリット:
*私が読む限りここについての言及がありませんでした。「質を意識する余り母集団が形成できない」などがありそうですね。本書は続編が出ているのでそちらに記載されていることに期待です。
以上のそれぞれのメリットデメリットを考えると質の向上を重視する方が効果的な採用(特に中小企業にとって)を行えると結論付けています。
著者は、
「究極的には、母集団と採用人数が同じ数であること。100人応募者がいて、その100人全員が望むような人材であり、そのまま100人採用できるのがベストです。無駄なく、費用を最低限に抑えつつ、最大限の効果を得られることになります。」
とも述べています。
このように採用において母集団の質の向上は大きな要因となっています。本書ではその質を上げるための方法が随所に書かれています。
概要:
本書の内容は大きく3つに分けることができます。
1章:多くの企業が陥っている採用方法の問題点について
2,3,4章:採用ブランディングの説明から実行方法について
5章:採用ブランディングのまとめと実例
著者:
深澤了氏。ブランディング/クリエイティブディレクター、むすび株式会社代表取締役。「企業」「商品・サービス」のみだった従来のブランド論に、「採用ブランディング」という新たな理論を構築し、母集団の質改善、内定辞退率の低下など、数多くの企業の劇的な採用成績向上に貢献している。
感想:
量を増やすことにより非効率になり、質を上げることにより効率的になるという事実は目から鱗でした。採用だけでなく商品を売る際の営業活動にも応用できそうですね。
他の書評でも書きましたが、採用本を読めば読むほど「商品を売るか」「自社を売るか」の違いだけなんだと気付かされます。欲を言うならば、質を重視することによるデメリットも言及して欲しかったですね。もしかしたらデメリットが無いのかもしれませんが…
後、いくら質を重視すると言ってもある程度の母集団形成は必要であり、中小企業さんはこの部分について悩んでいるところが多いのではないでしょうか?札幌の中小企業の採用課題の調査報告を見たことがあるのですが、「求職者に自社が求人を出しているということを知ってもらうこと自体難しい」という課題が多かったです。実際のところはどうなのかをさらに調査してみます。
以上、「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる採用ブランディングの書評でした。
米田